SSブログ

二月大歌舞伎 夜の部 2009.2.1 [歌舞伎]

一月夜の部に行ったばかりだったのに、もう二月夜の部の初日です。
さすがに人気狂言なだけあって歌舞伎座は満員御礼のようで、ものすごい人でした。

『蘭平物狂』
2004年8月に同じ三津五郎さんのもので拝見して以来、4年半ぶりでした。
あの当時でも三津五郎さんが「もうこれで最後かもしれない…」と仰っていたと記憶していますが、なんのなんの素晴らしい立回りを見せてくれました。

奴蘭平実は伴義雄の三津五郎さん、前半の眼目でもある狩衣での舞が見事です。
楷書な感じの踊りでした。
身体の遣い方が本当に綺麗なんですね。
後半の立回りとなってからも、ひとつひとつの型が美しかった~。
百廻りをした時も身体の芯がブレないのは流石ですね。

一子繁蔵の宜生クンが頑張っていました。
この子は身体が柔らかいのかな…。
キメの型がキッチリとしていて、なかなかのものです。
とっても可愛らしいのですが、子役なのに声が低いというか野太いというか(笑)。
子役らしくない声というのが、見た目と違ってちょっとソンしてるかも…。

与茂作実は大江音人の橋之助さん、宣生クンと同じ舞台になった途端にパパの顔つきになってしまっていました。
仕方ないですね(笑)。

立回りの間中、上手舞台袖に殺陣師さんがずーーーっと正座して心配そうに見ていました。
三階さん達は頑張っていましたか、まだ初日ということもあってか返りを失敗する人達が多かったです。
観ていてヒヤヒヤする場面が幾つがありました。
とは言っても、やっぱりこの演目は楽しいですねぇーーー。



『勧進帳』
素晴らしかったです!
本当に素晴らしい勧進帳でした。
あっという間に終わってしまった感がありました。

まず舞台に富樫の菊五郎さんが登場した途端にものすごい数の拍手と大向うがかかります。
そして花道から義経が登場すると、更なる大向う。
もうこれだけでもワクワクしますよねぇ。

続いて染ちゃん、松緑クン、菊之助クン、段四郎さん。
なんでしょう、この四天王の華やかさ!(笑)。
さすがにひとりでも主役を張れる人が揃っていますから、ものすごい迫力です。
正直言って今まで四天王の登場だけでここまでワクワクしたことはないです。
染ちゃんが第一声を発した時に声の力強さ、そして場の吸引力を感じました。

菊五郎さんの富樫は、やっぱり以前拝見して思った通りに大人な富樫です。
物の道理をわかっている懐の深い、武士らしさでした。
台詞廻しもたっぷりと間を取っています。
問答ではもう少し緊迫感が欲しく、これが私的には物足りなさを感じる要因ではあったのですが、それを差し引いても有り余るほどの立派な富樫でした。

源義経の梅玉さんも、さすがに手のうちに入ったお役で安定しています。
高貴な雰囲気がぴったりですね。
手を差し伸べる時の眼差しの優しさ、そしてなんと言っても型が美しいです。
義経役者ですねぇ、やっぱり。

弁慶の吉右衛門さん、勧進帳を読む段での最後の辺りは声が少し辛そうでしたが、これは先月の五郎役で喉を痛めてしまったのでしょう。
それにしても大きくて、素晴らしい弁慶でした。
なんとしても義経を逃がしたいという気迫がビンビンと伝わってきます。
男泣きするところの心情表現もなんとも見事で、思わずジワッとしてしまいました。
それを見ている四天王がまたキチンと心情表現出来ているんです。
弁慶と一緒になって泣いているのが分かります。
吉右衛門さん、多分この弁慶に向けて身体を作ってきたのでしようねぇ。
並大抵の体力では弁慶を演じることは出来ないと思うのですが、最後まで息をあげることなく演じきっていました。

四天王ではやっぱり染ちゃんが一番でした!←贔屓目ではないと思う(笑)。
綺麗だし(爆)。
菊之助クンと松緑クンと比べても、やっぱり化粧が一番上手いのも分かります。
同じような顔を作るハズなのに、菊之助クンはあっさりし過ぎだし、松緑クンは猫みたいだし(笑)。
いや、ほんと、松緑クンは化粧ヘンですから!(またか)
染ちゃんったら、もうね、この舞台に立てることが嬉しくてしようがないっていうのが、分かるんですよ。
吉右衛門さんと菊五郎さんとの遣り取りを本当に真剣に、そして楽しそうに見てるんです。
もちろん楽しそうな顔しているわけではないんですけど、贔屓なら絶対にその顔が楽しんでいるっていうのが分かります(笑)。
松緑クンもそして菊之助クンまでもが不動の見得や石投げの見得の時などは、吉右衛門さんをガン見してました。
眼目のひとつである「押し合い」の場面は、この四天王だからこそ観られるのではないかと思うほどの素晴らしい緊迫感でした。
一触即発の睨み合いは、鳥肌が立ったほどです。
四天王と弁慶、そして富樫と番卒の息がピッタリと合っているんです。
染ちゃんの表情と身体の遣い方、凄いですよ~。
これが観られただけでも来た甲斐があったというものです。
もう一回、チケット取っておいて良かった~。



『三人吉三巴白浪』
この演目は節分に観てみたいですねぇ。
明後日拝見される方が羨ましい(笑)。

1年ちょっと前にやっぱり染ちゃんのお坊、松緑クンの和尚で観ていますが、あの時には2人ともまだまだだった感がありました。

で、今回ですが、やっぱりまだまだだなぁと(笑)。
でも前回と比べたら染ちゃんのお坊も、ずいぶんと台詞を謡っていたようには思えました。
まだ聞いていて気持ち良いとまではいきませんが、どこか粋な坊ちゃんという雰囲気は出てきていたよう思えます。
あとはもう少し柔らかみと色気が増せばいいかな~。
まぁ、今回はお嬢に大先輩の玉三郎さんですから、緊張感も半端じゃあないでしょう。
後半に期待です。

松緑クンの和尚は、この面子だとやっぱり兄貴分という感じにはならないですね。
化粧はやっぱりヘンです(爆)。

お嬢の玉三郎さんは、女のフリと男も戻る時の境目があまりないんですよね。
なんか根っからのオカマキャラのようです(失礼)。
名台詞の場面は、さすがの貫禄でした。
玉様らしい身体の置き方の美しさを見せてくれます。



今月の夜の部も幕間が35分、25分と長く、時間的にはコストパフォーマンスは悪いです(笑)。
ま、でもあの勧進帳があれば、十分元は取れたかな。


nice!(1)  コメント(4)  トラックバック(1) 
共通テーマ:演劇

nice! 1

コメント 4

カオリ

怒濤のアップですね! 楽しませていただきました。
昨日歌舞伎座昼の部に行ってきましたが、夜の部も観たい・・・。実は「蘭平物狂」は観たことないんですよ。幕見に行ってこようかしら、なんて思ってます。
by カオリ (2009-02-10 09:31) 

愛染かつら

カオリ様

レスが遅くなってしまってゴメンなさい。
実はmixiでアップしてあった記事なんですけど、なかなかこちらにアップ出来なくて…。
ここって記事をアップするのに時間がかかるんですよねぇ。
そうするとちょっとおっくうになってしまうのでした、ははは。

「蘭平物狂」の立ち廻りは圧巻ですよー。
ぜひお時間があったらご覧なって下さいねー。
by 愛染かつら (2009-02-13 03:02) 

mami

三津五郎さんの蘭平はさすがに颯爽として決まってましたね。仰るとおり本当に体の線がお綺麗だと感心しました。
四天の立ち回りも、私が観に行った日はもうさすがに失敗する人もなく、よく動けていましたよ。

吉様の弁慶の凄さはもう自分の記事で散々書きましたが、富樫の菊五郎さん、義経の梅玉さんもほんとに遜色ない素晴らしさで、見応えありましたね。四天王までこれだけ揃う大舞台は滅多に観られないので、堪能させていただきました。
私ももう一回観たくなって、チケット買っちゃいました(笑)。
by mami (2009-02-14 00:09) 

愛染かつら

mami様

三津五郎さんはやはり舞踊の名手でいらっしゃるから身体の線が美しいですよね。
四天の返りには本当にヒヤヒヤしましたが、それもまた初日の醍醐味だったと思います。

吉右衛門さんの弁慶は「弁慶ってこういう人だったのだろうなぁー」と思わせてくれるものでした。
この舞台だけでもチケット代の元は取れた気がします。
今週また拝見出来ると思うとうれしいです~。
mamiさんも楽しんでいらして下さいね!
by 愛染かつら (2009-02-17 13:36) 

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 1

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。