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八月納涼大歌舞伎 第二部 2007.8.19 [歌舞伎]

第一部の終演後、第二部の幕開きまではランチ・タイムにする。
歌舞伎座裏の「銀の塔」。
和風なビーフ・シチユー…
すんごーーーく美味っていうんじゃないんだけど、何故かまた食べたくなる味だ。
二部のお席は3階11列29番。

 

●ゆうれい貸屋(ゆうれいかしや)
桶屋の弥六(三津五郎)は、腕のいい職人ながら、生来のなまけ者。
女房のお兼(孝太郎)や家主の平作(彌十郎)がいくら意見をしても、聞く耳を持たない。
あまりの体たらくを見かねたお兼は、自分がいなければ弥六もまじめに働くだろうと、しばらく実家に戻ることに…
お兼を引き留めもせず、ふて寝していた弥六が目覚めると、台所の隅に、若く美しい女がうずくまっている。
聞けば辰巳芸者の染次(福助)の幽霊で、男に騙され恨み死にしたが、今は怨念も果たし終わったところ。
弥六に惚れたので女房にしてほしいと言う。
最初は驚いた弥六も、美女に迫られ悪い気がせず、夫婦同然に暮らし始める。
こんな二人が思いついた商売が、幽霊貸し屋。
他者への恨みを晴らしたい人のために、幽霊を貸し出そうというアイデアだ。
屑屋の又蔵(勘三郎)や浮気娘の千代(七之助)など、染次が呼び出した幽霊が続々集まり、商売は大繁盛…。


5月に「泥棒と若殿」で好演した三津五郎が、再度山本周五郎の作品に挑戦するとのことで、実はかなり楽しみだった演目。
ある意味、これが一番納涼歌舞伎らしかったかな。
全般的にテンポ良く飽きさせない展開だったが、終盤が少々バタバタしすぎたように思った。


弥六の三津五郎、いかにも江戸の職人といった風情がぴったり。
だらだらとした怠け者でありながらも、見せるところはきっちりと見せてくる辺りはさすがに上手い。
福助との遣り取りも絶妙の間合いだ。

お兼の孝太郎、この方の長屋のおかみさんというのは初めて見た気がするが、これがなかなか似合っている。
顔もほとんど素顔に近くて、作りすぎていないのが良い。
こういうお役をもっと見たくなった。

染次の福助、まさにピッタリな配役!(笑)。
幽霊というにはおどろおどろしくはないのだけれど、そこが何とも楽しかった。
次々と変えるお衣装も粋で素敵。
少々やり過ぎな感があったことは否めないが、それがこの演目では功を為していたと思う。

屑屋の又蔵の勘三郎、さすがにおいしいところを持っていく(笑)。
後半の説教臭くなるところは、もう少し軽妙さがあっても良かったかなぁ~。

おじいさんの幽霊で出演していた権一、もうピッタリすぎて大笑いしてしまった(笑)。

 

●新版 舌切雀(したきりすずめ)
洗濯糊を食べてしまった雀の舌を切り落とした意地悪で強欲なおばあさんが、雀のお宿でもらう、つづらに入ったおみやげは……。


渡辺えり子作、演出。
幕開きの雛壇には驚きがあって楽しかったが、芝居が進んでいくにつれて飽きている自分に気付く。
これって俳優祭?!(笑)。
いや、これなら先日の俳優祭の「白雪姫」の方がずーっと歌舞伎っぽかったよ~。
こういう演目は理屈抜きに楽しめば良いのだろうけれど、御伽噺としては最後が説教臭いし、無理矢理取ってつけたみたいで意味分からないし。
このドタバタ作品を大真面目で演じていらした役者さんには感服するし、素直に拍手を贈りたいが、渡辺えり子にはうーん…
それにしても衣装も出演者も豪華絢爛だったなぁ~。

玉婆の勘三郎、こういうお役を演られると本当の楽しそう。
赤い着物がものすごーーくキッチュで、ハッキリ言って趣味悪すぎ!(笑)。
それとアドリブ的な台詞も下品過ぎだった。

すみれ丸と蓮の精の福助。
舌を切られた姿が、まるでマンガ(笑)。

鷹蔵の彌十郎、首を左右に振る姿がいかにも鷹らしく上手い。
こういう細かいところまできっちり演技してくる辺りがさすがだ。
なんだかあまりに大真面目に演っているので気の毒になってきちゃったほど。

孔雀王の孝太郎、なかなか立派な王様。
それにとっても美しい。

森彦の勘太郎とお夏の七之助、一番まともなお役だったような…
あ、でも蚊に血を吸われ過ぎて死んじゃうんだっけか。
人の善い夫婦なのに、あまりにかわいそ過ぎる。

梟の局の亀蔵、もうピッタリな配役。
あの眼鏡は反則技だ(笑)。

蚊ヨの扇雀。
なんすか蚊って!(涙)
楽しそうに演ってらしたけど、蚊って…
しかもその蚊と玉婆が親友っていうのも意味分からん。
そもそも御伽噺に意味なんて求めちゃいけないのかも知れないけれど、あまりにかわいそ過ぎる役だよ。

鶴姫の芝のぶ、おっとりとした感じがいかにもお姫様らしくて可愛い。

小人と与太郎の三津五郎、健気な与太郎はなんだかイジメられているようで後味が悪かったなぁ。

チャイコフスキーの「白鳥の湖」を下座演奏した中で踊るのは、六羽の白鳥。
白い着物にチュチュのようなものを付けて、すっかり気分はバレリーナ?!
笑いを取るには面白い試みだったけど、どんどん白けていく自分が…
まぁ、楽しめたところもあったので、良しとしましょうか(苦笑)。


 


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maki

「ゆうれい貸家」、とても楽しそうですね。こういう作品は歌舞伎作品の中ではどんな位置にくるのですか? 落ちはないんでしょうけど、ちょっと落語にありそうな設定だと思いました。
また、いっしょに観劇したいです。10月あたり…
by maki (2007-09-04 16:55) 

愛染かつら

maki様
「ゆうれい貸家」、楽しかったですよ~。
確かにこれって落語にしても面白そうですね。
落語といえば来月の夜の部には「怪談牡丹灯篭」がかかります。
10月はライヴもあるし、国立もあるしで大変なんですが、観に行く予定にしています♪
国立でも歌舞伎座でも、良かったらご一緒しましょう~。
by 愛染かつら (2007-09-04 17:55) 

mami

愛染かつらさん、こんばんは~。
「銀の塔」、有名ですよね。一度行ってみたいと思いながら、まだ果たせずにいます。まあ、銀座界隈にはそう言うお店がいっぱいあるんですけど。

「ゆうれい貸屋」の方は素直に楽しめましたね。福助のオーバーな演技も、この役なら許せる感じでした。
でも「新版舌切雀」は私もちょっと、居心地悪い気持ちになりました。役者さんの熱演とプロ根性には頭が下がりましたが。

9月はまたがらりと趣を変えて、まさに大歌舞伎の演目。楽しみましょうね~。
by mami (2007-09-05 23:38) 

愛染かつら

mami様
いつも有難うございます~。

「銀の塔」って行きたくても、なかなか行けないんですよねぇー。
幕間では時間が足りないし、夜の部が終わった後では閉まってるし、かといって昼の部が終わった後はお腹空いてないし…
なので納涼の時の入れ替え時が一番行ける時間帯なのでした。

二部は「ゆうれい貸家」の方がずーっと楽しめましたね。
「舌切雀」は期待していただけに残念でした。
役者さん方が一生懸命だっただけに余計に辛くなってしまった…

9月は初日に昼の部に行って来ましたが、本当に楽しめました。
染贔屓の私は「竜馬がゆく」で萌え~でしたが、もちろん播磨屋の「熊谷陣屋」も絶品で…
今週末は夜の部に行って来ます!
by 愛染かつら (2007-09-06 03:28) 

はなみずき

こんにちは~! テンプレートが変わってるぅ~! とっても素敵ですね。思わず目がキラキラっとしてしまいました。(今までのテンプもある意味「キラキラ」でしたけれども!)

2部の感想。拝読していて、安心いたしました(笑)。でも、まわりでは大ウケしている方々もいたわけで…、人それぞれなのでしょうね、特に新作は…。

9月は「竜馬」に萌え~、なんですね(笑)。昼の部は下旬に拝見なので、待ち遠しいですわ。
by はなみずき (2007-09-06 06:52) 

愛染かつら

はなみずき様
テンプレート、ちょっと自分でも飽きていたので変えてみました~。
秋っぽい色合いと薔薇好きなので今回のは結構気に入っています!
はなみずきさんにも気に入って頂けたようで良かったです。

二部は、うーん…って感じでしたねぇ。
面白い部分ももちろんあったけど、白けてしまう部分もあったんですよね。
勘三郎さんのノリって嫌いじゃないけど、時に鼻についてしまう時があります。

「竜馬がゆく」はもう本当に染好きには萌えーーーーっ!でした(笑)
ちょっと時代劇とか新感線っぽい箇所があるんですね。
染ちゃんに興味が無いと、そこで引いてしまう人も居るかも…(苦笑)
by 愛染かつら (2007-09-06 12:54) 

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